西村憲子さんは、竹の皮を山から採取するところから、すべて一人でこなされる草履職人さんです。昔から変わらない伝統の編み方で、一つ一つ心をこめて仕上げていきます。
高知県土佐市戸波(へわ)の、山に囲まれた静かな集落。のどかな風が心地よく通り抜ける土間の小さな一角が、西村さんの仕事場です。 この日は、
とさこや用の草履を編む作業をされている中、お邪魔させてもらいました。
木製の支えを起点に、足の形に編みこんでいく草履作り。 竹の皮は素人がさわると怪我をすることもあるくらい堅いものなのですが、西村さんの熟達した技術の前ではまるで紐のように見えます。目にもとまらぬ速さの手さばきで、絶妙な詰み具合に編まれていきました。
出来るだけ足に馴染みやすいように、編み目を木槌で叩いて仕上げていきます。 「はじめは足の裏がすこうし痛いぐらいが調度ええがやけんど・・・できるだけ履き心地ようしたいきね。」
手さばきの俊敏さとは正反対の、のんびりゆったりした土佐弁で話す西村さん。私自身、西村さんの草履を部屋履き&外履きにずっと愛用しています。こんな優しい笑顔のもとで大事に作られた草履だからこそ、こんなに愛着が沸くのだと納得した次第です。
作業場の壁には、近隣の山から最近採取したばかりの、生の竹皮がたくさん立てかけられていました。
これを籠いっぱいにして、一人山から担いで降りてくると伺って、竹皮草履製作の苦労がしのばれました。この竹の皮を、各工程で何度も天日干ししていきます。
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